今日の保田海岸は、昨夜通り過ぎた小さい台風の残りでそれなりに波が立っていた。これはチャンスと、ホームセンターで買っておいた安い桐板で板子乗りをやってみた。
板子乗りとは、日本にサーフィンが伝来する前に、人々が自発的にしていた波に乗る遊びのこと。ハワイでもパイポという木の板に乗る遊びが古くからあったらしく、海沿いの人間は波を見ると乗りたくなるものなんでしょう。日本では江戸時代にもそんなような遊びをしていたという記録があって、明治以降は避暑地の海岸で全国的に楽しまれたという。
戦前に海水浴、避暑地としてにぎわった保田でも、きっと板子のりを楽しんだ人もいただろう。
今日の保田の海には台風の残りの波でサーフィンをしようと、10人くらいがショートボードで入っていた。最初は私もショートボードで入ったが、乗れる波は減ってきて、ほかのサーファーも一人また一人と陸に上がりはじめていた。この状態で保田の海を楽しむには、もう板子乗りにかけるしかない。いったん岸に戻り、板っ切れを取りに行った。
板はホームセンターの棚板コーナーに並んでいたもので、板の厚さは2センチ弱と薄く、軽い。幅は30、長さは90センチ。買ったままだから、ラミネートがまだ貼ってあって、商品紹介の紙も入ったまま。紙には「加工が容易」「軽い」「工作に最適」と書いてある。棚作りに持って来いだ。本人も売り場に並んでいた時は棚になるつもりでいたかもしれないが、まさか海に浮かべられて人が乗ってくるとは思ってもみなかっただろう。
ちょっとは防水できるかとラミネートははがさずに再度入水した。水に浮かべた板に乗ってみると浮力は弱く、どこか頼りない感じがした。半身だけ板に乗せて手と足で沖に泳いで行った。ある程度力のある波を選んでトライしたら、思いのほか、波の力を受けて板が進み始めた。勢いを落とさないように手で漕ぐと、割とスピードが出た。同じように腹這ってたのしむボディボードとは違って、板の頼りなさに独特のフィーリングがあった。原始的で思ったよりもスリリング。楽しい!
慣れてくると、進路変更もそれなりにできた。
海面から顔を出して眺める鋸山はなかなか雄大だ。大仏を見ながら海を楽しめるのは東洋ならではのエスニックな光景だろう。台風が雲を持って行ってくれたせいか、久しぶりに富士山も顔をのぞかせていた。海面の板を見ると「工作に最適」。ちょっと笑ってしまった。
もう少し波のサイズがある日に、足ひれをつけてやってみたら、横滑りして楽しめるような気がする。
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