朝起きると、家の前の浜にかすかなうねりが確認できた。娘とは、以前からサーフィンをやってみようというアイデアを考えていて、まさに打ってつけの小さな波の気配だった。
とはいえ、家の前はサーフィンができる波形ではない。経験上隣町の海岸は確実に、最適になっているはずと直感。ロングボードを車の屋根に縛って、その他の準備もささっと済ませて娘と一緒に車に乗り込んで出かけた。
隣町の海岸の北側は特に遠浅の地形で、大きなうねりでも緩やかな波が立つのが特徴だ。潮が引き気味の時に、微小なうねりが入ると、幼い子どもが波乗りを覚えるのにちょうどいいくらいの波が立つはずなのだ。
僕たちが着いたころには、やはり数組の親子が楽しんでいた。
岸辺で水の掛け合いっことかしながら普通に水遊びをした。そのあと、海に入っている人たちの様子を一緒に見て、私が何度か波に乗って見せてみた。
初めてサーフボードで遊び。今回の目的はあくまで「水に親しむこと」。娘が寝そべったボードを砂浜まで波に流して遊ばせる。すっと水の上を進む感じが楽しかったようで、なんども繰り返してあそんんだ。そのうちに、おもむろに娘は板の上に立った。これには「えっ?」と驚いた。
毎回「寝たまま滑りなよ~」と言って板を波に乗せていたのだが、なぜか娘は立上がった。嬉しくなって、娘に走って近寄って、一緒に喜んだ。そして、なんで立ち上がってみたのか聞いてみた。
「ん~なんか立てそうな気がしたの」と。それと、となりで上手に立ち上がっていた少し年上の男の子の真似をしてみたんだという。
男の子は慣れた様子で、立ち上がった状態で何度も岸まで波に乗って楽しんでいた。両親も、真っ黒でサーフィン一家という風。他には孫を連れた60代の男性。明るく楽しげな声が海岸に響いていた。
Comments