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ケアセンターさざなみさんと作った 『なつかしの風景』

更新日:2020年5月23日


ケアセンターさざなみさんと作った写真集

先月、『なつかしの風景』という名の写真集を作りました。

この写真集は、地元の介護事業所「ケアセンターさざなみ」でケアマネージャーを務める、近江祐樹氏と共作したものです。同施設の利用者さん達に、懐かしい風景に親しんでもらい、昔話に花を咲かせてもらえたらと企画しました。 保田の江田写真館創業者・江田晃陽氏が、昭和20年から30年代にかけて撮影した、町の風景写真が収録されています。 ケアマネージャーの近江祐樹氏は、私の一学年先輩で、美容・ヘアメイクの業界から介護業界に移られた、美的・自然的な感性に優れた方です。過疎高齢化がすすむ地方で介護や地域福祉の世界に身をおくと、切実な地域的課題が見えてくるといいます。同氏は、いち個人としての生活のあり方や、地域のあり方を模索し日々仕事に励まれています。 同施設では『その人の生きてきた「ものがたり」を支える』をケアのテーマに掲げています。私は保田文庫の活動で、これまで30人弱の地域のご高齢の方々に昔話を聞いてきました。当人にとっては普通の出来事を思い出しているだけなのに、話している発音や間合い、会話の節々から、当時のにおいが漂うような、時代の気配に包まれるような感覚がありました。こういうものは、日常的な記憶が身体をとおして表現されたときにはじめて「ものがたり」となり、利き手に伝わるのではないかと思います。

災害や時代の趨勢の中で、風景は変わっていきますが、一枚の写真は「今」と「昔の記憶」をつなげてくれる貴重な存在だと思うのです。 今回の写真集は、素人ながら取り組んできた郷土史的な領域と地域福祉におけるケアという領域の間に生まれた一冊と言えるかもしれません。 写真集を見た利用者さんは会話を弾ませていたそうで、中には長らく不明であった写真にまつわる事をご存じの方もいるといいます。一冊の写真集から懐かしい新発見が続いています。

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