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科学随筆っておもしろいなぁ

更新日:2018年9月24日


科学随筆っておもしろいなぁと思っています。

文系の学生ながら本なんか学生時代には興味もなかったし、勉強というよりもギターをやったり海に行ったりなど、その都度興味のあるものばっかりに傾倒していました。そんな質ですので、科学随筆なんてまったくお門違い。当時の私が、タイムマシーンで現在にやってきて、今の私と話をしたら、間違いなく「よくもまぁそんなものを読むようになったなぁ」と、驚くでしょう。

科学随筆に興味を持ったのは、昭和初期に私の家のすぐ近くに別荘を構えた生物学者、小泉丹(こいずみまこと)という人物の文章に触れたことがきっかけでした。なんというか、科学というのは、勉強のできる人たちが特別に扱う、一般からかけ離れた分野、世界というイメージだったのですが、読んでるうちに、「そういうものでもないんだな」と感じ始めました。どうやら科学の基本スタンスは、身の回りにある自然現象に「え、これどうなってんの?」とか「なんで?」とか内発的な疑問をもつということのようでして、科学者というのはかなり童心的にわくわくして物事を眺めているんじゃないかと感じたからです。

たとえば、小泉丹は、別荘に来た際、すぐ手前に浮かぶ小島と東京湾の対岸の城ケ島との間の水平線を眺め、「あ、ちょっと曲がってるじゃん」と気づきました。このことを『水平線は曲がっている』というタイトルで随筆集に収めています。この気づきは、学道を極めた生物学者だからこそ価値があるのかもしれませんが、その内容は極めて些細で、とりとめもないことです。

私は元来興味のあるものをいろいろと探す質ですので、日常の些細なことでも驚きにかわるということが魅力的に思えました。それで、科学随筆を調べてみると、保田に暮らした著名な物理学者・石原純や、寺田寅彦、中谷宇吉郎などいろいろな科学者が書いていました。この3人はいずれも小泉と関係があった人物でした。各々が書いたものの中には、こども向けに科学のたのしさを伝えようという趣旨の文章も多数ありました。

最近、気に入って読んでいるのは中谷宇吉郎の随筆集。「立春の卵」は同氏の代表的な一文らしいのですが面白い。「たしかめること」の楽しさを感じました。自分の子どもにもエッセンスを伝えたいなとおもっています。まずは子どもたちと、卵がほんとに立つのかどうか試すところからです。

『立春の卵』こちらから読めます。


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