突然小包が届いた。中を開けると、初代歌川広重作の浮世絵「房州保田海岸」が入っていた。送ってくださったのは、かつて大正時代から保田に居を構えていた国文学者・茶道研究者で古物商でもあった松山氏のご子孫Mさんだ。先祖の事を知りたいと、保田の事を調べていた先に保田文庫を知ってくださったのだった。以来、お互いに調べを進め、やりとりさせていただいている。
実をいうと、私は以前に数度この作品が欲しくなったことがあって、どこかに売っていないものだろうかと探したことがあったが、見当たらず。仕方ないかと何度かあきらめていたのだ。
それが突然届いた。
封を開けた私は驚きを禁じえず、うれしくてすぐご連絡を差し上げた。
Mさんは「保田に贈るギフトとして、とくに保田文庫にはぴったりだろう。これしかない」と思い、版元に問い合わせたところ、20年以上前に限定で刷ったものの残りがたまたま一枚だけあったのだという。
額は10年弱前にたまたま雰囲気が気に入って買っていたものだった。店を出るときに主人が「それは浮世絵がピッシャっとはいるよ!」と言っていたっけ。数々の偶然が重なり、こうして自室に納まった。もろもろの経緯を含め、セレンディピティを感じずにはおれない。ずっと大切にしていきます。
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