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波の中



この前の台風の時は、保田海岸にもサーファーが集まっていて、サーフィンに向くような沖合で崩れる波がたっていた。板子乗りに適した岸辺で崩れる波はどうかと見にいくと、こちらもかなりいい形の波が割れていた。横滑りできそうなものや、場合によっては大きな輪っかのある、中に入れそうな波もたっていた。

早速板子を持って、岸辺の波に乗ってみると、台風らしく力のある波で、スピードも速かった。横に進むごとに立ちあがる波の形がきれいだった。いくつか波の中にも入ることができた。波の中は一瞬無音というか、静かで、かすかに低く深い音が「コォー」となっていた。波の作る輪っかの内側から、岸辺の野布良港と大漁荘の建物が見えた。ごく一瞬のことだが、スローモーションのようだった。

大漁荘というのは何年か前までやっていた飲食店で、宴会や法事で使われていた店だった。看板は当時のまま立っている。この看板が端正でなかなかチャーミングな佇まいなので、個人的にけっこう気に入っている。


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